Severe Ischemic MRに対するMVPは術後再発しやすい:N Engl J Med. 2016 Jan 28;374 (4):344-53.

Two-Year Outcomes of Surgical Treatment of Severe Ischemic Mitral Regurgitation

Daniel Goldstein, et al.

N Engl J Med. 2016 Jan 28;374 (4):344-53.

 

要旨

この論文は、重症の虚血性僧帽弁閉鎖不全症患者において、僧帽弁修復術と僧帽弁置換術を比較した2年間の無作為試験について報告している。その結果、両治療法は左室収縮末期容積指数(LVESVI)と生存率の点でほぼ同等に有効であることがわかった。しかし、修復群では中等度または重度の僧帽弁閉鎖不全症の再発率が有意に高く、心不全に関連した有害事象や心血管系への入院が多かった。このことは、僧帽弁置換術が、人工弁の使用など独自の課題やリスクはあるものの、より耐久性のある解決策である可能性を示唆している。

既存の研究との関連
この研究は、虚血性僧帽弁閉鎖不全症における僧帽弁修復術と人工弁置換術の長期比較データを提供することにより、この分野を前進させた。僧帽弁逆流の再発は修復群で高いという所見は、臨床的な意思決定に重要な示唆を与えるとともに、さらなる研究が必要な分野を指し示している。この研究はまた、外科的アプローチを選択する際に、人工弁に伴うリスクと再発やその後の心不全の可能性を比較検討するよう臨床医に促している。

Abstract

背景
重症虚血性僧帽弁閉鎖不全症患者において僧帽弁修復術と僧帽弁置換術を比較した無作為化試験において、術後1年の左室収縮末期容積指数(LVESVI)、生存率、有害事象に有意差はみられなかった。しかし、修復群では中等度または重度の僧帽弁閉鎖不全症の再発が有意に多かった。この試験の2年後の成績について報告する。

方法
251例の患者を僧帽弁形成術群と置換術群に無作為に割り付けた。患者は2年間追跡され、臨床的および心エコー学的転帰が評価された。

結果
生存患者において、2年間のLVESVIの平均値(±SD)は、僧帽弁修復術で体表面積1平方メートルあたり52.6±27.7ml、僧帽弁置換術で1平方メートルあたり60.6±39.0mlであった(ベースラインからの平均変化、それぞれ1平方メートルあたり-9.0ml、-6.5ml)。2年死亡率は修復群で19.0%、置換群で23.2%であった(修復群のハザード比、0.79;95%信頼区間、0.46~1.35;P=0.39)。2年後(死亡例を含む)のLVESVIの順位に基づく評価では、群間に有意差はみられなかった(z score=-1.32、P=0.19)。2年間の中等度または重度の僧帽弁閉鎖不全症の再発率は、置換群よりも修復群で高かった(58.8% vs 3.8%、P<0.001)。重篤な有害事象と全再入院率に有意な群間差はみられなかったが、修復群では心不全に関連した重篤な有害事象(P=0.05)と心血管系の再入院(P=0.01)が多かった。Minnesota Living with Heart Failure(心不全とともに生きるミネソタ)質問票では、置換群でより改善する傾向がみられた(P=0.07)。

結論
重症虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁修復術または置換術を受けた患者では、左室逆リモデリングや2年後の生存率に有意な群間差は認められなかった。僧帽弁逆流は修復群で再発頻度が高く、その結果、心不全関連の有害事象や心血管系の入院が多く発生した。

主要関連論文

  1. Alfieri, O., et al. (2001) “The double-orifice technique in mitral valve repair: a simple solution for complex problems.” The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery.
  2. Adams, D. H., et al. (2014) “Randomized trial of mitral-valve repair versus replacement for moderate ischemic mitral regurgitation.” The New England Journal of Medicine.
  3. Gillinov, A. M., et al. (2016) “Repair versus replacement for degenerative mitral valve disease.” The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery.
  4. Nishimura, R. A., et al. (2017) “2017 AHA/ACC focused update of the 2014 AHA/ACC guideline for the management of patients with valvular heart disease.” Journal of the American College of Cardiology.

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