血液製剤の使用において、その適正使用はよく言及されるところである。今回は、それに関わるデータや推奨を述べていく。
輸血とお金について
各種製剤の値段
医療費の高騰を抑える必要あり
- 濃厚赤血球(MAP)2単位 18,054円
- 新鮮凍結血漿(FFP) 2单位 18,244円
- 濃厚血小板製剤(PLT)20単位 162,691円
- フィブリノゲン製剤 (Fib) 1g 52,165円
- フィブロガミンP (XIII) 240IU 8324円
輸血管理料の算定
輸血管理適正使用(一人につき月110点)
FFP使用量がMAP使用量より0.54未満、かつアルブミンの使用量がMAP使用量より2未満であること
- FFPの使用量 =全使用量 – 血漿交換での使用量/2
- アルブミンの使用量=全使用量 – 血漿交換での使用量
輸血適正使用について
血液製剤の使用指針(H31年)
- MAP:弁置換術や冠動脈バイパス術後の急性期貧血では、Hb 9~10g/dlを強く推奨する。
- FFP:PT-INR ≧2.0、APIT ≧ 基準値上限の2倍、フィブリ
ノーゲン ≦ 150 mg/dl - PT:術中・術後を通して血小板数が3万/mcl未満に低下している場合には、血小板輸血の適応である。ただし、人工
心肺離脱後のプロタミン投与後に血算及び凝固能を適宜検査・判断しながら、必要に応じて5万/mcl程度を目処に血小板輸血開始を考慮する。複雑な心臓大血管手術では、血小板数5~10万/mclになるようにする。
※フィブリノゲン製剤は、産科危機的出血に対して適応はあるものの、必ず直前にFib<150mg/dlであることを測定した上での使用が義務付けられている。
※心臓血管手術による出血に対してのフィブリノゲン製剤の適応については公知申請許可は降りたものの適応についてはまだ通っていない状況となっている模様。
輸血適正使用について
輸血療法委員会による強い推奨
・MAP:払い出し/使用の目標値 < 1.5
・FFP:払い出し/ 使用の目標値 < 1.5
・PLT:払い出し/使用の目標値 < 1
※ 使用しなくても手術室においておくだけで払い出しにカウントされる
フィブリノゲン投与の効率について
FFP 2単位:0.5g/240ml. 換算比 1
クリオプレシピテート:0.5~0.8g/50ml. 換算比 5~8
フィブリノゲン製剤:1g/50ml. 換算比 9.6
→FFPは血漿成分が多く、フィブリノゲンに関しては補充効率が悪いし、Na負荷やTACO、TORALIの可能性などデメリットもある。しかし、Protein C、AT-III、α2ーplasmin inhibitorの含有などの特徴も踏まえて有効に使用するべきである。
現在、血液凝固に関して、従来のin vitroで言われていた内因外因共通系のカスケードとは違った、Cell-based theoryがin vivoにおいて言及されている。そこでは、血小板活性からinitiation phaseやamplification phaseなど相互に作用することによってフィブリン血栓形成がされていくという仕組みが考察されている。それにあたり、全血を調べた上で適切に輸血製剤の使用をしていくことが求められ、TEG®︎・ROTEM®︎・Sonoclot®︎を始めとするpoint of careがその一役を担っていることは間違いない。
関連文献
- Health Technol Assess. 2015; 19: 1-228
- Circulation. 2011; 124: 225-35
- Cardiovasc surg 2002; 10: 146-53
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