高齢者の整形外科手術に対するレミマゾラムの影響:Drug Des Devel Ther. 2023 Jan 20;17:143-153.

Effect of Remimazolam on Postoperative Delirium in Older Adult Patients Undergoing Orthopedic Surgery: A Prospective Randomized Controlled Clinical Trial

Jin-Jin Yang, et al.

Drug Des Devel Ther. 2023 Jan 20;17:143-153.

 

要旨

この研究では、全身麻酔で整形外科手術を受ける高齢成人患者において、超短時間作用型ベンゾジアゼピンであるレミマゾラムの術後せん妄(POD)に対する効果に焦点を当て、プロポフォールと比較した。60歳以上の患者320人を対象としたこの無作為化比較試験では、主要アウトカムは術後3日以内のせん妄の発生率であった。その結果、レミマゾラムはプロポフォールと比較してPODの発生率を増加させないことが示唆された。具体的には、発生率はレミマゾラム群で15.6%、プロポフォール群で12.4%であった。さらに、レミマゾラム群では導入後の低血圧の発生率が低く、手術中の血管作動薬の消費量も少なかったが、抜管時間と麻酔後治療室(PACU)滞在時間が長かった。

既存研究との関連性
本論文は、ICUにおけるベンゾジアゼピン系鎮静剤の投与とせん妄発生率の高さとの関連を明らかにした先行研究を基礎としている。ベンゾジアゼピンに関する以前の知見に反して、本研究ではレミマゾラムの使用によるせん妄リスクの増加は認められなかった。超短時間作用薬であるレミマゾラムの代謝特性がこの違いの理由かもしれない。以前の研究では、ベンゾジアゼピン系薬剤の譫妄への影響は半減期によって様々であり、作用時間の長いものほど問題が大きいことが判明している。この研究は、ベンゾジアゼピン系薬剤がせん妄を引き起こすという一般的な考え方に反論するものであり、PODにおけるレミマゾラムの安全性を支持する証拠を提供するものである。

Abstract

背景
術後せん妄は高齢者に多く、予後不良と関連する。ベンゾジアゼピンの使用はせん妄の独立した危険因子として同定されたが、新しい超短時間作用型ベンゾジアゼピンであるレミマゾラムと術後せん妄の関係に関するランダム化比較試験はない。われわれは、全身麻酔で整形外科手術を受ける高齢成人患者において、レミマゾラムがプロポフォールと比較して術後せん妄の発生率を増加させるかどうかを評価するためにランダム化比較試験を計画した。

患者と方法
整形外科手術を受けた米国麻酔科学会(American Society of Anesthesiologists)の身体状態I~IIIの60歳以上の患者320例を登録した。患者を2群に無作為に割り付け、それぞれ術中にレミマゾラムまたはプロポフォールを投与した。主要転帰は術後3日以内のせん妄の発生率であった。これは1日2回のCAMによって評価した。副次的転帰は、覚醒時興奮の発生率、抜管時間、麻酔後治療室(PACU)滞在期間を含む覚醒の質であった。有害事象も記録した。

結果
術後せん妄の発生率はレミマゾラム群で15.6%、プロポフォール群で12.4%であった(リスク比、1.26;95%CI、0.72~2.21;リスク差、3.2%;95%CI、-4.7%~11.2%;P = 0.42)。せん妄の発現時間、せん妄の持続時間、せん妄のサブタイプについては、両群間に有意差は認められなかった。レミマゾラム群では導入後の低血圧の発生率が低く、術中の血管作動薬の消費量も少なかったが、術後の抜管時間とPACU滞在時間は長かった。

結論
整形外科手術を受けた高齢成人患者において、レミマゾラムによる全身麻酔はプロポフォールと比較して術後せん妄の発生率の増加とは関連しなかった。

主要関連論文

  1. Marcantonio et al. – Investigated the effects of long-acting versus short-acting benzodiazepine drugs on POD.
  2. Studies from references 25–27 – Delved into the connection between benzodiazepine sedation in the ICU and delirium.
  3. Recent studies cited in references 13, 29 – Explored the relationship between short-acting benzodiazepines and decreased incidence of POD.
  4. Kaneko, Shohei et al. – Conducted a retrospective study comparing remimazolam with propofol in relation to POD during specific cardiovascular surgeries.
  5. Research from references 37–39 – Highlighted measures like BIS monitoring for anesthesia depth and avoidance of specific drugs that might reduce delirium incidence.

Follow me!

コメント

PAGE TOP Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.
タイトルとURLをコピーしました