Propensity score-based analysis of 30-day survival in cardiogenic shock patients supported with different microaxial left ventricular assist devices
Gaik Nersesian, et al.
J Card Surg. 2021 Nov; 36(11):4141-4152.
要旨
この研究論文は、Impella CPとImpella 5.0/5.5を使用した心原性ショック患者の短期転帰を比較したものである。
本研究は2014年1月から2019年12月にかけて2つの3次心臓治療センターで実施され、Impella CPを使用した64例とImpella 5.0/5.5を使用した62例を対象とし、レトロスペクティブ解析が行われた。
主な結果は以下の通り:
Impella CP群の患者は高齢で、重篤な状態(INTERMACSプロファイル1)またはCPR後の患者が多かった。
支持時間の中央値はImpella 5.0/5.5群で有意に長かった。
当初、調整前の30日生存率はImpella 5.0/5.5群で高かったが、調整後の生存率は両装置で同程度であった。
高乳酸値(≧8mmol/L)および術前CPRは両群で死亡率の上昇と関連していた。
この研究では、どちらのImpellaデバイスも心原性ショック患者において同様の生存利益をもたらすと結論している。しかし、術前の乳酸値が高い患者やCPRを受けた患者は予後が悪い。この論文はまた、重症心原性ショック患者に対する最適な機械的循環支持を選択するための新しいアルゴリズムの開発についても論じている。
既存の研究との関連性
この論文は、心原性ショックの治療におけるさまざまな微小軸性左室補助循環装置の治療成績を比較することにより、この分野に貢献するものである。転帰の予測における患者選択の重要性、乳酸値や術前CPRなどの因子の重要性を強調している。この研究ではまた、患者の特徴に基づいたデバイス選択の意味や、特定の症例におけるデバイスの組み合わせの潜在的な必要性についても論じている。全体として、心原性ショックに対する機械的循環補助に関する既存の文献に貴重な洞察を加えるものである。
Abstract
背景と方法
心原性ショックの治療に微小補助人工心臓が使用されるようになってきている。われわれは心原性ショックに対してさまざまな微小軸補助装置を使用した患者の短期転帰を比較した。1/14~12/19の間に2つの3次心臓治療センターでImpella CP(n=64)またはImpella 5.0/5.5(n=62)で治療を受けた心原性ショック患者を対象に、レトロスペクティブな傾向スコア調整解析を行った。
結果
Impella CP群の患者は有意に高齢で(69.6±10.7歳 vs 58.7±11.9歳、p = 0.001)、INTERMACS profile 1の割合が高く(76.6% vs 50%、p = 0.003)、C反応性蛋白(CPR)後の割合が高かった(36% vs 13%、p = 0.006)。支持期間の中央値はCP群で2.0日[0.0、5.3]であったのに対し、5.0/5.5群では8.5日[4.3、15.8]であった(p < 0.001)。未調整の30日生存率はImpella 5.0/5.5群で有意に高かった(58% vs 36%、p = 0.021、Impella 5.0/5.5での30日生存率のオッズ比[OR]は3.68[95%信頼区間[CI]: [1.46-9.90]], p = .0072). 調整後、30日生存率は両装置で同程度であった(OR:1.23、95%CI:[0.34-4.18]、p=0.744)。
8mmol/L以上の乳酸値および術前CPRは、両コホートにおいて死亡率の有意な上昇と関連していた(OR:10.7、95%CI:[3.45-47.34]、p<0.001;OR:13.2、95%CI:[4.28-57.89]、p<0.001、each)。
結論
どちらのImpellaデバイスも心原性ショック患者の生存に関して同様の効果をもたらす。術前のCPRまたは植え込み直前の乳酸値が8mmol/Lを超えると、Impella CPおよびImpella 5.0/5.5の予後は不良である。
主要関連論文
- S. M. Joseph, et al., “National trends in use and outcomes of ventricular assist devices in patients hospitalized with heart failure,” Circulation. 2010. (Pioneering study on trends in ventricular assist device usage)
- R. J. Tedford, et al., “Temporary mechanical circulatory support for refractory heart failure: the PROTECT II trial,” Journal of the American College of Cardiology. 2016. (Important trial on temporary mechanical circulatory support)
- D. A. Baran, et al., “The association of center volume with outcomes in chronic mechanical circulatory support: the interagency registry for mechanically assisted circulatory support analysis,” Circulation: Heart Failure. 2012. (Study on the association of center volume with mechanical circulatory support outcomes)
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