AVP vs RCPで脳卒中発症率の検討:Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2012 Mar;60(3):132-9

Risk-adjusted and case-matched comparative study between antegrade and retrograde cerebral perfusion during aortic arch surgery: based on the Japan Adult Cardiovascular Surgery Database : the Japan Cardiovascular Surgery Database Organization

Akihiko Usui, et al.

Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2012 Mar;60(3):132-9

要旨

この研究論文は、2つの主要な脳保護法の比較研究である: 特に大動脈弓部手術におけるAntegrade cerebral perfusion(ACP)とRetrograde cerebral perfusion(RCP)である。2005年から2008年の日本成人心臓血管外科データベースのデータを用い、2209例のACPと583例のRCPを対象とした。その結果、30日死亡率、手術死亡率、脳卒中発症率において、ACPとRCPの間に有意差は認められなかった。しかし、RCPは一過性の神経機能障害と透析の必要性の割合が高かった。この研究の限界は、その後ろ向きな性質と、RCPまたはACPの期間などの特定の重要なデータがないことである。

この分野との関連性
この研究は、大動脈弓部手術における脳保護法として著名な2つの方法であるACPとRCPの有効性と相対的利益に関する貴重な洞察に貢献するものである。大規模な臨床データベースを利用することで、先行研究との整合性を図りつつ、一過性の神経機能障害や術後腎不全といった特定の領域にも焦点を当てた、確実な分析を提供している。この研究により、選択基準がさらに明確になり、外科医が個々の患者のニーズに合わせて、より多くの情報に基づいた決定を下すのに役立つ。

Abstract

目的
大動脈弓部手術における脳保護法として,Antegrade cerebral perfusion(ACP)とRetrograde cerebral perfusion(RCP)がある。RCPとACPの大規模臨床研究は,主要有害事象に対するそれぞれの特徴を明らかにするために重要である。我々は,日本成人心臓血管外科データベース(JACVSD)をもとに,日本における最新の臨床成績を評価するための比較研究を行った。

方法
対象は2005年から2008年の間に上行大動脈および大動脈弓の非分離性動脈瘤に対してACPまたはRCPを選択的に施行した13467例の大動脈手術症例とした。ACPは2209例、RCPは583例であった。多変量ロジスティック回帰分析により、30日死亡率、手術死亡率、主要罹患率に基づくリスク調整比較が評価された。条件付きロジスティック回帰分析もACPとRCPの傾向一致ペア499例で行われた。

結果
リスク調整解析では、30日死亡率(3.5% vs 2.6%)、手術死亡率(5.3% vs 4.1%)、脳卒中(6.8% vs 3.1%)に関してACP群とRCP群の間に有意差は認められなかった。傾向一致のペアでも、30日死亡率(3.4% vs 2.4%)、手術死亡率(3.8% vs 3.4%)、脳卒中発生率(5.0% vs 3.0%)に関してACP群とRCP群で有意差は認められなかったが、RCP群では一過性の神経機能障害(3.0% vs 5.8%)および透析の必要性(1.6% vs 4.2%)が有意に高かった。

結論
RCPとACPは死亡率、脳卒中発症率ともに同等の臨床結果をもたらした。RCPは一過性の神経機能障害と透析の必要性を示す患者においてのみ、より高い発生率を示した。

主要関連論文

  1. Ueda et al., study on the usefulness of RCP in aortic arch surgery with a focus on duration (Reference in the paper).
  2. Di Eusanio and colleagues, exploration of ACP’s duration and its association with mortality and neurological outcomes (Reference in the paper).
  3. Okita and colleagues, randomized comparative study evaluating RCP and ACP in total arch replacements (Reference in the paper).
  4. Hagl and associates, retrospective analysis comparing outcomes in ascending and aortic arch surgery using different brain protection methods (Reference in the paper).
  5. Barnard and coworkers, extensive review of literature comparing ACP and RCP (Reference in the paper).

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