心臓手術における脳保護の概論:Anaesthesia. 2018 Jan;73 Suppl 1:67-75.

Peri-operative neurological complications

R Hood, et al.

Anaesthesia. 2018 Jan;73 Suppl 1:67-75.

 

心臓手術による脳損傷は、患者の罹患率と死亡率の重要な原因である。脳損傷のリスクと高齢との関係は、心臓手術を受ける高齢患者の割合の増加により、これらの合併症の頻度が上昇することを予感させる。本総説では、周術期脳卒中、術後認知機能障害、術後せん妄の病因と危険因子について検討する。また、脳保護戦略や脳塞栓症および低灌流の回避に焦点を当て、これらの各症状の予防についても議論する。

要旨

手術後の神経学的合併症は発作、術後認知機能障害(POCD)、術後せん妄(POD)として現れる。術後の発作、特に全身性の発作は心臓手術後に最も多くみられ、特定の薬剤がそのリスクを高めている。認知能力の低下であるPOCDは、心臓手術後1ヵ月に患者の10〜30%が罹患する。しかし、その長期的な影響についてはまだ議論の余地がある。いくつかの研究では、認知能力の低下は手術そのものよりも脳血管障害との関連性が強い可能性が示唆されている。一方、PODは、主に股関節骨折の修復のような特定の手術後に見られる急性の認知問題である。精神疾患と認定されるせん妄は、医療資源に大きな負担をかけ、患者の術後のQOLに悪影響を及ぼす可能性がある。

脳保護法は進化しており、”オフポンプ “CABG手術は従来の方法に比べて有意な神経学的利益をまだ示していない。PODに対処するためには、様々な患者の状態や薬剤を最適化する集学的アプローチが必要である。近赤外分光法(NIRS)は脳血流モニタリングに有望であり、患者管理を個別化できる可能性がある。

既存の研究との関連性
この論文は、術後の神経学的合併症を深く掘り下げ、その症状や患者への影響を拡大している。POCDとその長期的な影響に関する微妙な議論は、現在進行中の議論に貢献するものである。潜在的な脳保護戦略とNIRSの可能性を分析することで、術後の神経学的合併症の軽減に関する現代的な視点をもたらしている。このような洞察は、より効果的な患者治療戦略を考案する上で、臨床医や研究者にとって有益である。

CPB中のリスクマネージメント

 

主要関連論文

  1. Newman et al. on the association of POCD at hospital discharge with long-term cognitive decline.
  2. Selnes et al. comparing cognitive performance in cardiac surgery patients and medically treated controls.
  3. van Dijk et al. on cognitive outcomes 5 years post-CABG surgery.
  4. DSM (5th edition) on the classification and diagnosis of psychiatric disorders, including delirium.
  5. Studies on the use of NIRS in monitoring cerebral blood flow, and its implications for post-operative patient management.

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