Short-Term Outcomes of Magnetically Levitated Left Ventricular Assist Device in Advanced Heart Failure – The Japanese Cohort

Koichi Inoue, et al.

Circ J.2022 Nov 25;86(12):1961-1967

要旨

この研究論文は、完全磁気浮上式遠心流左室補助循環装置（LVAD）であるHeartMate3（HM3）の優位性を、その前バージョンであるHeartMateII（HMII）と比較して、75人の日本人コホートにおいて2年間にわたって評価したものである。この研究では、2群（HM3群とHMII群）の装置内生存率に有意差はなく、生存率は90％を超えた。しかし、HM3群では再入院率が有意に低く、これは血栓性イベントや出血性イベントが少なく、脳血管障害（CVA）やポンプ血栓症などの塞栓性イベントがほとんどなかったためと思われる。全生存期間は同程度であったが、HM3による再入院率と合併症発生率の低下は医療費対効果につながる可能性がある。本研究は、記述的レトロスペクティブ解析であること、日本人全体を代表するものではないことなどの限界を認めている。

既存研究との関連性
この論文は、HM3とHMIIという2つの重要なLVAD技術の比較について、特に日本人コホートにおける貴重な知見を提供するものである。HM3の総合的な優位性を示す国際的な解析結果を裏付けるとともに、長期的な患者管理にとって重要な再入院率、血栓性イベント、費用対効果に関する具体的な知見を提供するものである。これらの知見は、特に心臓移植の待機期間が長い日本のような状況において、管理戦略を最適化する努力を含め、LVADに関する今後の研究の指針となるであろう。

Abstract

全生存期間、脳卒中イベント、ポンプ血栓症の点で、完全磁気浮上式遠心フロー型左室補助循環装置（LVAD）の優位性がこれまでの国際的な解析で証明されていることから、日本人コホートについても同様の評価を行った： 本研究は、大阪大学医学部附属病院および国立循環器病研究センターにおいて実施された。HeartMate3(HM3)植込み術を受けた75人の連続した患者を対象とした。主要エンドポイントは装置内生存率で、副次的エンドポイントは2年後のLVAD関連合併症の発生率であった。すべてのパラメータは、197例において以前に行われたHeartMateII（HMII）植込みと比較された。HM3群とHMII群の2年後の生存率はそれぞれ94.7％と92.3％であった（P=0.62）。植込み後の無再入院率はHM3群で61.8％であり、HMII群より有意に高かった（相対リスク、0.35；95％信頼区間[CI]、0.23-0.55；P<0.0001）。HM3群における脳血管イベントおよびポンプ血栓症からの無イベント生存率は、それぞれ97.2％および100％であり、HMII群よりも有意に高かった（相対リスク、0.14；95％信頼区間［CI］0.03-0.58；P＝0.0015および相対リスク、算出せず；P＝0.049）。
日本人コホートにおいて、HM3植え込み後の満足できる短期転帰が観察された。

主要関連論文

1. “A Fully Magnetically Levitated Circulatory Pump for Advanced Heart Failure,” New England Journal of Medicine, 2017 – Discusses the clinical outcomes of HM3.
2. “The HeartMate II Left Ventricular Assist Device: From Concept to First Clinical Use,” Annals of Thoracic Surgery, 2009 – Describes the development and initial clinical experience with HMII.
3. “Design Concepts and Principle of Operation of the HeartWare Ventricular Assist System,” ASAIO Journal, 2010 – An overview of another significant technology in the LVAD field.
4. “Antithrombotic Therapy for LVADs: The Two-Side Janus,” Thrombosis Journal, 2016 – A paper focusing on thrombotic events associated with LVADs, relevant to findings in the given paper.

Follow me!