Association between postoperative hemodynamic metrics of pulmonary hypertension and right ventricular dysfunction and clinical outcomes after left ventricular assist device implantation
Gaurav Gulati MD, MS, et al.
J Heart Lung Transplant. 2022 Oct;41(10):1459-1469
要旨
研究の概要
本研究は、左室補助循環装置(LVAD)植込み術における術後の血行動態とその後の転帰との関係を理解することに焦点を当てた。研究者らは1,050人の成人CF-LVAD患者を分析し、主に右室(RV)の後負荷と機能の指標に注目した。その結果、肺高血圧は一般的であり、PAPi、PVR、RAPなどの種々の指標は、死亡、右心不全(RHF)、消化管出血(GIB)のリスク上昇と独立して関連していることが明らかになった。しかし、術後の血行動態は脳卒中リスクとは関連していなかった。この研究では、術後のRV機能障害とRV後負荷上昇の血行動態指標は重要なリスク因子であり、リスク軽減の対象となりうると結論した。このことから、有害事象を減らすためにさらなる研究が必要である。
関連性
術後血行動態の理解: この研究は、LVAD患者の術後血行動態を理解する上で重要なギャップを埋めるものであり、以前は十分に定義されていなかった領域である。
臨床的介入の可能性: 特定の血行動態マーカーと長期有害事象との関連を明らかにすることにより、本研究は従来の術前とは異なる潜在的な治療標的に関する洞察を提供する。
先行研究との整合性 本研究結果は、後期RHF発生率に関する先行研究と一致しており、LVAD植え込み後のRV機能とRV後負荷の影響についてより包括的な見解を提供するものである。
今後の研究のための段階設定: 本研究は、LVAD植え込み後のRV機能障害と肺高血圧の軽減に関する今後の研究に道を開くものであり、RHFの負担を軽減する上で重要なステップである。
Abstract
背景
左室補助循環装置(LVAD)手術後の早期右心不全(RHF)に関連する術前の血行動態リスク因子は十分に確立されているが、術後の血行動態状態とその後の転帰との関係はまだ十分に定義されていない。
方法
STS-INTERMACSレジストリの成人CF-LVAD患者のうち、早期RHFの所見がなく3ヵ月以上生存し、LVAD植込み後3ヵ月時点で血行動態データが得られている患者を分析した。RV後負荷および機能の指標と、その後の死亡、右心不全(RHF)、消化管出血(GIB)、脳卒中のリスクとの関連を、多変量Cox比例ハザードモデリングを用いて評価した。
結果
3ヵ月間の血行動態が確認できた1,050例のうち、肺高血圧症は一般的であり、585例(55.7%)がmPAP≧20mmHg、164例(15.6%)がPVR≧3WUであった。肺動脈拍動度指数(PAPi、3未満では対数増加あたりHR 0.62、95%CI 0.43-0.89)とPVR(1.5WU以上では1WU増加あたりHR 1.19、95%CI 1.03-1.38)は、死亡またはRHFの複合と独立して関連していた。術後RAP(5mmHg上昇につきHR 1.18、95%CI 1.04-1.33)、RAP:PCWP(対数増加につきHR 1.46、95%CI 1.12-1.91)、PAPi(対数増加につきHR 0.76、95%CI 0.61-0.95)はそれぞれGIBリスクと関連していた。術後の血行動態は脳卒中リスクとは関連していなかった。
結論
術後のRV機能障害およびRV後負荷上昇の血行動態指標は、RHF、死亡率、GIBと独立して関連している。術後のRV機能と後負荷の最適化を目標とする戦略がこれらの有害事象の負担を軽減できるかどうかについては、前向き研究が必要である。
主要関連論文
- “Pulmonary Hypertension in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction: A Target of Phosphodiesterase-5 Inhibition in a 1-Year Study”
- “The Sildenafil Pulmonary Hypertension Dose Optimization Study (SPHINX Study): Assessment of Dose-Response Effect of Sildenafil on Exercise Capacity and Hemodynamics”
- “Rationale and Design of a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Trial to Evaluate the Safety and Efficacy of Sildenafil Addition in Patients with Moderate to Severe Pulmonary Hypertension and Heart Failure with Preserved Ejection Fraction (The Phosphodiesterase-5 Inhibition to Improve Clinical Status And Exercise Capacity in Diastolic Heart Failure (RELAX) Trial)”
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