StanfordA型急性大動脈解離への上行or部分弓部 vs TAR-FET:Ann Thorac Surg. 2009 Mar;87 (3):773-7.

Operative strategy for acute type a aortic dissection: ascending aortic or hemiarch versus total arch replacement with frozen elephant trunk

Naomichi Uchida, et al.

Ann Thorac Surg. 2009 Mar;87 (3):773-7.

要旨

この研究論文は、急性A型大動脈解離に対するfrozen elephant trunk(FET)法による弓部全置換術の長期成績を、上行または部分弓部置換術(AHR)と比較して分析したものである。1997年から2008年にかけて120例の患者を対象に行われたこの研究では、FETは5年生存率が高く(95.3%対69.0%)、胸部大動脈のイベント率が良い(95.7%対73.0%)ことがわかった。FETは近位下行大動脈のすべての偽腔を血栓化したが、29%の偽腔が残存したAHRとは異なっていた。この研究では、FETは相対的に安全性に優れ、残存する偽腔を管理するためのさらなる手術の必要性を減少させる可能性があると結論づけている。

既存の研究との関連
この論文は、急性A型大動脈解離に対する最適な手術手技に関する現在進行中の議論と研究に貴重な洞察を加えるものである。この論文は、生存率と再手術の必要性の最小化という点で、FET手技の潜在的な利点を強調している。この研究は、大動脈解離を治療するための様々な手技に焦点を当てた先行研究を補完・拡張するものであり、長期的転帰とリスクに関するより良い理解に貢献するものである。

Abstract

背景
この報告は、急性A型大動脈解離に対するFETによる全弓部置換術と上行または部分弓部置換との長期成績を比較したものである。

方法
対象は1997年から2008年までの急性A型大動脈解離に対してFETを受けた65例とAHRを受けた55例の連続120例である。手術後の後期成績をFET群とARH群でレトロスペクティブに比較した。

結果
FET群では3例が死亡し、AHR群では2例が死亡した。長期追跡(平均67ヵ月)において、5年後の生存率はFET群で95.3%、AHR群で69.0%であった(p = 0.03)。5年後の胸部大動脈のイベント率は、FET群とAHR群で有意差を示した(95.7%対73.0%、p=0.01)。近位下行大動脈の偽腔はAHR群では16例(29%)で開存していたが、FET群では全例で血栓化していた。

結論
急性A型大動脈解離患者において、FET法を用いた広範な一次修復を比較的安全に行うことは可能である。FETは残存偽腔を管理するためのさらなる手術の必要性を減少させる可能性がある。

主要関連文献

  1. Czerny, M., et al. “Mid-term results of thoracic endovascular aortic repair in acute, subacute, and chronic type B aortic dissection.” The Annals of Thoracic Surgery, 2012.
  2. Rampoldi, V., et al. “Surgical treatment of acute type A aortic dissection: State of the art.” European Journal of Cardio-Thoracic Surgery, 2007.

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