LVAD植え込み戦略の変化:Ann Thorac Surg. 2020 Mar;109(3):649-660

The Society of Thoracic Surgeons Intermacs 2019 Annual Report: The Changing Landscape of Devices and Indications

Jeffrey J Teuteberg, et al.

Ann Thorac Surg. 2020 Mar;109(3):649-660

要旨

研究論文は、2014年から2019年までの持続流左室補助循環装置(LVAD)の進化と影響について、特に軸流、ハイブリッド浮上付き遠心流(CF-HL)、完全磁気浮上付き遠心流(CF-FML)の3種類に焦点を当てて論じている。その結果、遠心型のLVADが近年では主となっており、Destination Therapy(DT)が最も一般的な植込み戦略となっていることが明らかになった。CF-FMLでは生存率や主要有害事象の非発生率が高いが、ランダム化されていない登録研究のため、他の機器との比較は慎重に行う必要があるとしている。

この研究ではまた、移植前の一時的機械的循環補助(tMCS)の増加や、米国の心臓割り当て方針の変更による移植戦略の変化にも言及している。これらの変化にもかかわらず、LVADを受ける患者の基本的な人口統計学的特徴と健康状態はほぼ一貫している。再入院の危険因子を理解し、より効果的な予防戦略を開発する必要性が強調されている。

既存の研究との関連性

この論文は、LVADの使用と有効性に関する増加しつつある研究成果に追加するものである。この論文は、様々なタイプのLVADの経時的な相対的性能と採用に関する具体的な洞察に寄与している。このことは、これらの装置のさらなる開発の指針となり、臨床診療に影響を与えることができる。さらに、植込み戦略と植込み前のサポート技術の分析は、この分野の変化を理解するための貴重な背景を提供し、将来の政策決定に情報を提供する。

Abstract

背景
機械的循環補助の分野は、新しい連続流LVADの承認と米国の心臓配分システムの変更によって影響を受けている。

方法
2014年1月から2019年9月までのThe Society of Thoracic Surgeons Intermacsレジストリにおける一次分離型持続流型LVAD移植を評価した。生存期間および主要有害事象からの自由度を、軸流型、ハイブリッド浮上を伴う遠心流型(CF-HL)、および完全磁気浮上を伴う遠心流型(CF-FML)デバイス間で比較した。

結果
2014年に植え込まれた2603個のデバイスのうち、1824個(70.1%)が軸流型で1213個(46.6%)がDTであったが、2019年9月までに1752個のデバイスが植え込まれたうち軸流は37個(2.1%)のみで、DTは1230個(70.2%)だった。

2014年から2018年の間に13,016人の患者に植え込み(軸流型が6938名(53%)、CF-HLが4786名(37%)、CF-FMLは1292名(10%))が行われた。2014~2016年と比較して2017~2018年に移植を受けた患者は、Intermacs profile 1(17.1%対14.3%、P<0.001)および移植前の一時埋め込み(34.8%対29.3%、P<0.001)である可能性が高かった。

全生存期間および主要有害事象がない症例は、CF-FMLデバイスの方が多かった。CF-HLとCF-FMLの生存率の多変量解析では、デバイスの種類は早期には有意ではなかったが、CF-HLデバイスの使用は死亡の後期ハザード比が3.01であった(P < 0.001)。

結論
過去5年間で、遠心流型LVADは革新的な技術となり、DTは最も一般的な植込み戦略となった。CF-FMLの治療成績は有望であるが、非ランダム化登録研究による他の装置との比較は慎重に行うべきである。

主要関連論文

  1. “Two-Year Outcomes with a Magnetically Levitated Cardiac Pump in Heart Failure” by Mehra et al., published in The New England Journal of Medicine, 2018 (MOMENTUM 3 trial).

  2. “Adverse Event Rates and Definitions in Heart Failure Research Derived From Medicare Claims Data” by Flint et al., published in the Journal of Cardiac Failure, 2018. This paper is particularly relevant for understanding the context of adverse event definitions used in trials.

  3. “Long-term Use of a Left Ventricular Assist Device for End-stage Heart Failure” by Rose et al., published in The New England Journal of Medicine, 2001. This study is one of the foundational works on the use of LVADs in heart failure treatment.

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