David, Yacoub vs Bentall:J Am Coll Cardiol. 2016 Oct 25;68(17):1838-1847

Valve-Sparing Root Replacement Compared With Composite Valve Graft Procedures in Patients With Aortic Root Dilation

Maral ouzounian MD, PhD, et al.

J Am Coll Cardiol. 2016 Oct 25;68(17):1838-1847

要旨

この研究論文は、大動脈基部動脈瘤患者に対する2種類の手術(大動脈弁温存(AVS)手術とComposite valveグラフト(CVG)手術)の比較分析である。この研究では、これらの手術を受けた616例の患者を20年間レトロスペクティブに評価し、偏った変数を調整するために傾向スコアを用いている。その結果、AVSを受けた患者は、bio-CVGまたは機械-CVGを用いたCVGを受けた患者と比較して、心臓死亡率および弁関連合併症の減少という点で良好な転帰を示した。したがって、AVS手技は、大動脈基部動脈瘤を有し、正常またはそれに近い大動脈尖を有する若年患者に対する治療法として望ましい選択肢であることが示唆される。

この論文は、心臓血管外科、特に大動脈基部動脈瘤治療の分野における既存の研究に大きく貢献するものである。AVS手術はCVG手術の代替と考えられてきたが、この研究はCVG手術よりもAVS手術を支持する確実な証拠を提供するものである。このことは、これまでの比較研究がサンプル数が少なかったり、追跡期間が短かったりしたために制限されていたという事実に照らして、特に重要である。この論文はまた、AVS手術は技術的に複雑であるため、これらの手術を高度に専門化されたセンターで行うことの重要性を強調している。

Abstract

背景
大動脈弁温存(AVS)手術は大動脈基部動脈瘤患者に対するcomposite valve グラフト(CVG)手術の代替術式として確立されているが,長期成績の比較は不十分である。

目的
この研究ではAVS手術を受けた患者とCVG手術を受けた患者の成績を比較することを目的とした。

方法
1990年から2010年にかけて、年齢が70歳未満で大動脈弁狭窄のない計616人の患者が、選択的大動脈基部手術(AVS、n=253;生体CVG[bio-CVG]、n=180;機械CVG[m-CVG]、n=183)を受けた。傾向スコアを共変量として用い、群間比較における不均衡な変数を調整した。平均年齢は46±14歳、83.3%が男性、平均追跡期間は9.8±5.3年であった。

結果
AVSを受けた患者はbio-CVGやm-CVGを受けた患者よりもマルファン症候群の割合が高く、二尖大動脈弁の割合が低かった。院内死亡率(0.3%)および脳卒中発症率(1.3%)は群間で同程度であった。臨床的共変量で調整した後、bio-CVGとm-CVGの両手術はAVSを受けた患者と比較して、長期の主要な弁関連有害事象の増加と関連していた(それぞれハザード比[HR]:3.4、p=0.005、HR:5.2、p<0.001)。また、心臓死亡率の増加とも関連していた(HR:7.0、p=0.001;HR:6.4、p=0.003)。さらに、bio-CVG手技はAVS手技と比較して再手術のリスク増加(HR:6.9、p=0.003)と関連し、m-CVG手技は抗凝固薬関連出血のリスク増加(HR:5.6、p=0.008)と関連した。

結論
この比較研究では,AVS手技はbio-CVGやm-CVGと比較して,心臓死亡率や弁関連合併症の減少に関連することが示された。AVSは大動脈基部動脈瘤を有し、正常またはそれに近い大動脈尖を有する若年患者に選択される治療法である。

主要関連論文

  1. David TE, Feindel CM. An aortic valve-sparing operation for patients with aortic incompetence and aneurysm of the ascending aorta. The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, 1992.

  2. Yacoub MH, Gehle P, Chandrasekaran V, Birks EJ, Child A, Radley-Smith R. Late results of a valve-preserving operation in patients with aneurysms of the ascending aorta and root. The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, 1998.

  3. Svensson LG, Batizy LH, Blackstone EH, Gillinov AM, Sabik JF, Lytle BW, et al. Results of matching valve and root repair to aortic valve and root pathology. The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, 2011.

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