✳︎Sev+PropはNG、オピオイドは他の薬によらずconditioning作用あり:Anesthesiology2012; 116:648-57

Choice of Anesthetic Combination Determines Ca?+ Leak after Ischemia-Reperfusion Injury in the Working Rat Heart

Michael Zaugg, M.D., M.B.A., et al.

Anesthesiology2012; 116:648-57

要旨

この研究では、虚血・再灌流を受けたラットの心臓を対象に、さまざまな麻酔薬とその組み合わせによる心保護効果を検討した。その結果、セボフルランまたはレミフェンタニルの単独投与は機能回復とカルシウム過負荷に対して有意な保護を与えるが、プロポフォールは同様の保護を与えないことが明らかになった。さらに、セボフルランとプロポフォールを併用すると保護作用が失われるが、レミフェンタニルとプロポフォールの併用では保護作用が維持される。プロポフォールによるこの濃度依存的な拮抗作用は、虚血後の筋小胞体からのカルシウム漏出と関連しており、細胞機能障害の一因となっている。この結果は、麻酔薬の組み合わせの選択が虚血後のカルシウムの取り扱いを決定する上で極めて重要であることを強調し、高リスクの手術患者における周術期の心保護を最適化するための戦略立案に役立つ知見を提供するものである。

関連性
この論文は、さまざまな麻酔薬とその組み合わせが心保護という観点からどのように相互作用するかについての重要な洞察を示している。さまざまな麻酔薬の組み合わせに関連するカルシウムの取り扱いと分子経路の詳細な探索は、基礎となるメカニズムの理解に向けて貴重な情報を提供するものである。この研究は、保護作用のある麻酔薬の組み合わせが、必ずしも相加的あるいは相乗的な保護作用をもたらすわけではないことを示すことで、従来の考え方に真っ向から挑戦している。麻酔薬による心保護作用の状況依存的な性質と、セボフルランによる保護作用に対するプロポフォールの特異的な拮抗作用を強調することによって、この研究は臨床診療に役立つ可能性があり、特にリスクの高い心臓病患者において、より個別化された麻酔法につながる可能性がある。

Abstract

背景
一般的な麻酔薬の組み合わせによる心保護作用に関する研究は不足している。しかし、全身麻酔薬はシグナル伝達や細胞保護に干渉する可能性のある薬剤の混合物であるため、最も好ましい組み合わせを使用すべきである。

方法
作業ラットの心臓を20分間の虚血と30分間の再灌流にさらした。虚血周囲のセボフルラン(2vol%)、プロポフォール(10μM)、レミフェンタニル(3nM)(単独治療)、およびこれらの3つの組み合わせ(組み合わせ治療)について、虚血後の左室仕事を改善し、細胞内Caリークと過負荷を予防する能力を評価した。細胞内[Ca]の拍動間振動をindo-1 AMを用いて測定した。カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIδ、リアノジン受容体-2、ホスホランバンのリン酸化が測定された。
結果
セボフルランまたはレミフェンタニルの単独投与は、機能回復とCa過負荷に関して高い保護作用を示したが、プロポフォールは高濃度でも同様の保護作用を示さなかった。セボフルランとプロポフォールの併用は、低濃度の鎮静性プロポフォール(≧1μM)の存在下でその保護を完全に失ったが、レミフェンタニルとプロポフォールの併用(10μM)はその保護を保持した。セボフルラン保護に対するプロポフォールの拮抗作用は濃度依存的であり、活性酸素消去剤N-2-メルカプトプロピオニル-グリシンによって模倣された。セボフルランにプロポフォールを加えると、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIδが活性化され、リアノジン受容体-2が過剰リン酸化された。レミフェンタニルはセボフルランによる保護を増強しなかった。
結論
麻酔薬の組み合わせの選択が虚血後のCaリークと細胞内過負荷を決定する。これらの実験結果は、高リスクの外科患者における周術期の心保護を最適化するための研究をデザインするのに役立つであろう。

主要引用文献

  1. Kehl, F., et al., “Isoflurane-induced Preconditioning,” Anesthesiology, 2004.
  2. Murry, C. E., et al., “Preconditioning with Ischemia: A Delay of Lethal Cell Injury in Ischemic Myocardium,” Circulation, 1986.
  3. Landoni, G., et al., “Beneficial Impact of Fenoldopam in Critically Ill Patients with or at Risk for Acute Renal Failure: A Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials,” American Journal of Kidney Diseases, 2007.
  4. Pagel, P. S., et al., “KATP Channel Activation Mimics Ischemic Preconditioning and Postconditioning by Preserving Mitochondrial Function During Reperfusion,” Anesthesia & Analgesia, 2008.
  5. Warltier, D. C., et al., “Cardioprotection by Preconditioning,” Anesthesiology, 2003.

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